坂本竜馬の人生〜激動の幕末を駆け抜けた竜〜

社会人になる前に、僕は2年間の空白がある。その2年間とは「浪人時代」である。しかし、いろいろな意味でその空白は埋まりつつある。

 浪人時代の2年間、はっきりいって最初はマイナスであるとばかり考えていた。しかし、その時代から5年の月日が流れ、改めて浪人時代を考えてみると、逆にプラスの作用の方が大きいような気がしてきた。

 まず、「読書」という本格的な趣味を手に入れられたということだ。主に司馬遼太郎氏の幕末維新歴史小説を主体に読み漁ったが、そこには人生のヒントがたくさんあった。マイナスのほうへ流れていきそうな僕の気持ちをプラスの方へ呼び戻してくれた。その英雄的な登場人物はすべて僕の心の先生であるかのようだった。僕はとても英雄的人物ではないと思うが、その登場人物たちのまるで一遍の詩になるかのような人生は、僕の精神にはとても必要であった。
 
例えば坂本竜馬の人生。竜馬は勝海舟に会ってから自分の人生が開けてきたのだが、海舟に会ったのは竜馬28歳のときである。事実上、竜馬が歴史に登場したのは海舟に会ってからだと思うけれども、しかし、その約5年後、竜馬33歳の時点で暗殺されているのである。ということは歴史上で活躍したのは5年間のみである。33年の生涯で5年しか活躍していない。しかし、竜馬の果たした役割は非常に大きい。33年という短い生涯であるが、ただなんとなく70年生きた人よりも非常に価値があるように感じられる。高杉晋作にしても29年間で生涯を閉じている。いずれも若い段階、まだこれからも活躍できそうなのになくなってしまっている。けど、歴史上に置ける役割は果たしている。

とはいえ、竜馬は若い時期に北辰一刀流の千葉道場の塾頭を勤めるほどの腕前になるまで、剣術に没頭している。歴史の表舞台に出る前の下準備が若い時期にしっかりとできていたのである。従って大事なことは、自分が主役を勤めるまで自分の実力を蓄えていくことである。