子供の笑顔

近頃、親が子供を虐待する事件が多発している。だいたいは母方の連れ子が同居している男に虐待されるケースである。
僕からすると、子供に乱暴を働くということが理解できない。子供は大人の、特に親の支えがないと生きていけない存在である。子供を育て上げるというのは、親の、世間一般の大人の義務でもある。それを放棄して虐待するなんてもってのほかである。「子供の笑顔」を見たら乱暴は働けないよ、普通の人ならね。


約6年前、すなわち僕の大学時代にさかのぼる。大学1年から3年の夏休み、小学校のプールで監視員のアルバイトをしていたことがある。その時、多くの子供たちに出会うことが出来た。「僕のほうが年上だから」みたいな垣根は造らず、友達感覚で子供たちと会話してみた。一緒にプールで遊んでみた。そうするとひと夏終わる頃には子供たちとだいぶ打ち解けることができた。
その時思ったのが、皆いい笑顔で遊ぶんだよね。純粋というか無垢というか。男の子は生意気盛りで、僕も一緒にプールで遊んだ時はさんざんに痛めつけられた(笑)けど、男なんだからそれくらい元気なのが普通だよね。女の子は変にマセていて、一生懸命背伸びしようとしていた。特に高学年になるとその傾向が見えた。大人っぽくみせようと背伸びしていたなあ。その点、男の子は高学年でもガキっぽかった。確かに自分自身の小学校時代を思い返すと、十二分にガキっぽかったな(笑)。一緒に子供たちと触れ合うことで自分も少し若返ったような気がしていた20歳のときの僕、って十分若いか、20歳だものね。
けど、一番嬉しかったのは「子供たちがいつまでも僕のことを覚えていてくれる」ことだった。いくつかケースを挙げると
①道端であっても気軽に声をかけてくれる。夏休み以降、すなわち1ヵ月後、5ヵ月後そして1年後であっても、覚えていてくれて声をかけてくれる。
②ある男の子の話、約4年ぶりに道端で会ったら、思いっきり声変わりしていた。うーん、大人の男への階段を駆け上がってるなあ。ま、まだ中学生だから大人への道は遠い。けど、身長が僕と同じくらいになっていたな。多分、近いうちに抜かれるだろうな(苦笑)
③ついこの間のことだったけど、よくプールに遊びに来ていた女の子から声をかけられてびっくりした。彼女が小学校4年から6年の頃の夏休みに、僕が面倒を見ていたわけだが、あの夏休みから早6年、彼女は高校2年生になっていた。正直分からなかった(笑)。名前を言われて思い出したくらいである。これはしょうがないことだよね。僕の記憶の中では彼女はまだ子供の顔をしているわけだし、いきなり「大人になりました」っていう顔になってもね。それくらい子供って成長するっていうことかな。彼女は大学受験を目指して勉強中だそうだ。


金稼ぎ目的でアルバイトしていたら、以上のケースのような「心」の副産物がついてきた。お金に変えられない「心の繋がり」を得ることができた。お金は使うと残らないけど、「心の繋がり」は絶対に無くならない。とても大切なものを子供たちから得ることができた。


結論として、いろんなことを大人に気づかせてくれる子供を虐待することは決して許されない。まして、大人の勝手な事情(夫婦の不仲、離婚、知らぬ人との同居等)で子供を虐待するのはなおさら許されない。